ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス感想レビュー!

5/4(水)に全国で放映開始となった、マーベル作品「ドクターストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」を公開初日に観てきました。公開初日とTOHOシネマズの水曜日割引 “TOHOウェンズデイ” が重なったこともあり、深夜帯でも満席になるほどの盛況でした。

本記事は、作品のストーリーを追いながら見どころを解説します。単なる「ドクターストレンジ」単独作品に留まらない重要なストーリーになるので、なるべく分かりやすくお伝えできればと思います。

ネタバレ無しで記載しますが、今作に限ってはネタバレ0だと一切記事が書けないほどの内容です。そのため、これから観る人にとってスパイスになるような表現で解説させていただきます。

 


 

ドクターストレンジとは

まず最初に、ドクターストレンジについて初見の方もいると思いますので、彼がどのような人物か簡単に解説します。

ドクターストレンジとは、マーベルコミックが発刊しているアメコミに登場する架空のスーパーヒーローです。アベンジャーズというヒーローチームの一員です。

ストレンジは元天才脳外科医。しかし、交通事故が原因で大けがを負い脳外科医の道を閉ざされてしまいます。その後、チベットにどんな傷も治す魔術師がいることを聞きつけたストレンジは、エンシェント・ワンという魔術師と出会い、治療する代わりに魔術師の弟子となる条件で魔術を習得することになります。エンシェント・ワンはストレンジの中にある”何か”を感じ取って保護下に置くことに決めたのです。

その後、7年間の修行の末に魔術を会得したストレンジは、魔術を正しき事に使うために「ドクター・ストレンジ」としてヒーロー活動を開始します。もともと、傲慢で地位・名誉・金におぼれた人間でしたが、仲間や師匠・愛すべき人を守る使命に気付き生まれ変わっていきます。

様々な魔術や装備が使用できることから、アベンジャーズとしても非常に強い力の持ち主です。

インフィニティ・ストーンのひとつであるタイム・ストーンを所持していた時は時間を操る能力によって多くのヴィランを圧倒しました。しかし、サノスとの戦いを経てストーンを手放した後は、自らの魔術と空間を繋げる”スリング・リング”やマントを用いた戦闘スタイルで敵と戦います。

 

 


 

マルチバース・オブ・マッドネス本編

ドクターストレンジ単独映画としては2作目となる本作。

本作はドクターストレンジがマルチバース(平行世界)を開いてしまった「スパイダーマン/ノーウェイホーム」から直接繋がる話となります。

本当に2作目なのかと思うほどに1作目から長い時系列を経た2作目となるため、1→2という見方ができないのがMCU作品の特徴です。今作を見るにあたってストーリーに関連する事象が語られる他作品を予習しておくとより楽しめると思います。

しかし、本作の監督はサムライミ!「死霊のはらわた」や「呪怨」「スペル」等のホラー映画の監督でもあり、過去版スパイダーマンの監督でもあります。ここで私が言えることは「考えるな!感じろ!」という作品に仕上がっているということ。過去のストーリーを知らなくても本作だけでも十分面白いため、単体でも楽しめる作品であることを先にお伝えします。

さてさて、まずは本作のストーリーと関連作品を紹介したあと、見所について解説します!

 


 

① マルチバース・オブ・マッドネスのストーリー

 ストレンジが「スパイダーマン/ノーウェイホーム」でマルチバースを開いてしまったことがきっかけで多くの犠牲が出た後の話。 元恋人クリスティーンの結婚式に参列したストレンジのもとに、未見の魔物と謎の女性”アメリカチャベス”が登場したことから歯車が回りだす。

 別のバースを行き来する能力を持つ”アメリカチャベス”の謎を解明するためにワンダの元を訪れるストレンジだが、既にスカーレットウィッチへと覚醒していたワンダは正気を失っていた。別のバースでは自分が幸せな生活を築いていることを知った彼女は、チャベスの力を奪うことでマルチバースを掌握しようと企てていたのだ。

 チャベスの力によって他のバースへと飛ばされたストレンジは、別勢力や、至高の魔術師となったウォン、元恋人のクリスティーンと共にワンダを止めるために奔走する。

 世界にとっての悪は「ワンダ」なのか、それとも「ドクターストレンジ」自身なのか―

 


 

② 本作を見る前に確認すべき作品

「ドクターストレンジ」 重要度★★★★★

 ドクターストレンジの過去や、魔術師としてのスタートを描いた第一作目は必見です。闇の魔術師であるカエシリウスとの壮絶なバトルの末に、タイムストーンの所持者となるまでが描かれています。マルチバース・オブ・マッドネスでは元恋人のクリスティーンがストーリーに大きく関わってくるため、彼女との過去や男女関係を押さえておくと今作のストレンジの心情を深く理解できるでしょう。

 また、1作目でも登場したモルドが別のバースで再登場します。魔術師たちのやり方に異論を唱えてストレンジと因縁があるモルド。彼について理解しておくと、更に今作のストーリーが面白くなります。

 

「アベンジャーズシリーズ」 重要度★★★★

 本作はMCU4アベンジャーズ作品のその後であるため、ストーリーにアベンジャーズの活躍が大きく関わってきます。サノスとの壮絶なバトルを経験した後であること、タイムストーンを失った後であることを踏まえて観ることで面白さの幅が変わります。

 また、本作の敵として登場するワンダも見方を変えれば主人公の一人です。そんな彼女の人生を知るためにもアベンジャーズはマストで押さえておくべき作品です。

 

「ワンダビジョン」 重要度★★★★★

 本作の敵として登場するのが、アベンジャーズの一員であるワンダです。彼女がスカーレットウィッチに変貌するまでを描くワンダビジョンは重要なドラマ作品となります。彼女はとある理由により子供に恵まれることのない人生でした、そんな彼女が覗いてしまった他のバースの自分は幸せな家庭を築いていました。”子供が欲しい”その一心に闇へと浸かってしまうまでが描かれています。序盤は癖のある進行で謎の多いドラマ作品ですが、後半にはすべての謎が解明されると共に、X-MENの配役が登場するなど、MCU作品としての殻を破った作品でもあります。

https://disneyplus.disney.co.jp/program/wandavision.html

 

「スパイダーマン/ノーウェイホーム」 重要度★★★★

 ノーウェイホームでストレンジがマルチバースを開いてしまったことが事の発端となります。マルチバース第一作目として映画化されたノーウェイホームは是非押さえておきましょう。マルチバースによって他の平行世界からなだれ込んでくる悪や仲間、その代償をスパイダーマンの視点で体感できる作品となっています。非常に重要な作品です。

 

「ロキ」 重要度★★

 ノーウェイホームでストレンジが魔術を失敗してマルチバースを開いてしまう原因となる話がロキで展開します。「一本の道筋から数多くの未来が分岐してしまう」という暗示が込められている作品で、マルチバースがこれから開幕するぞ!という警笛を味わうに持ってこいの作品です。

https://disneyplus.disney.co.jp/program/loki.html

 

「X-MEN」「ホワット・イフ?」「インフューマンズ」etc 重要度:Extra

 後で触れようと思いますが、本作はマルチバースということで、他のバースでは様々なキャラクターが登場します。予告編でも登場していた「X-MEN」のプロフェッサーXにファンは卒倒したことでしょう。その他にも、予習しておくことでテンションの上がる作品というのが多々あります。

 「ホワット・イフ?」には今作とは状況の違う闇のストレンジが登場します。このストレンジがイメージの元となって映画の闇ストレンジが描かれています。また「ホワット・イフ…?」からもキャラクターが登場するため、押さえていると一層楽しめる作品です。

 「インヒューマンズ」については今回は多くは語りませんが、ミュータントと人間との問題を取り上げた作品です。こちらも、X-MEN同様に版権問題をクリアした今だからこそ冒険できるとだけ述べておきます。楽しみは劇場で!

 

 

 


 

③ネタバレしない程度に、本作のポイントをお届け

・新登場の次世代アベンジャーズ”アメリカ・チャベス”

 本作から映画初登場となるのが”アメリカ・チャベス“です。チャベスは原作のマーベルコミックでは次世代アベンジャーズ「ヤングアベンジャーズ」となる一人です。マルチバースを行き来する能力を持っており、彼女を悪用したいワンダとそれを阻止するストレンジという構図が本作の大筋です。そして彼女が成長する話でもあります。

 ここ最近のマーベル作品は第二世代を育てることが重要なので、本作でチャベスを出したことで未来のアベンジャーズの布石となっています。直近では「Ms.マーベル」となるカマラカーンのドラマ作品も始まるため、第二世代にも目が離せません。

・理想のためにひとつのバースを破壊してしまう力『ダークホールド』

 本作では禁断の書『ダークホールド』が重要なアイテムとなります。それは特別な魔法を使用することができる禁断の書であり、力を使用すると他のバースの自分自身と意思をリンクすることができるというもの。そして、自分以外の存在と意思をリンクさせることは大罪となり、その反動でひとつのバースをも破壊してしまう可能性があるということ。その禁忌に触れるのは「ワンダ」か「ドクターストレンジ」か、というのも大きな見所です。

 

・マルチバースをめぐる複数のストレンジ

 マルチバースは平行世界であるため様々な境遇のストレンジがそれぞれ存在します。それぞれのストレンジがどのような人物であったのか紐解いていくことで、ワンダに勝利する道筋が見つかっていく展開がとにかく面白いです。劇中では『ワンダよりも恐ろしい存在はドクターストレンジだ』と明言されており、選択を間違えた自分自身との闘いも見所の一つです。

 ちなみに、マーベル世界の正史となるアースは「アース616」、今作では正史のアースと「アース838」「アース???」を行き来するようにして物語が進行します。混乱しないように3つの平行世界が登場することを押さえておくのも良いでしょう。

 予告編でも登場した闇のストレンジの存在は、主人公の決意を固める重要なキャラクターです。そんなストレンジ同士のバトルは、直近のMCU作品でもトップクラスに面白いバトルなので「究極の音符バトル」も楽しみにしていただければと思います。

  

・タイムストーンを収めていた「アガモッドの眼」も重要

 アベンジャーズでタイムストーンを失ったストレンジですが、タイムストーンを失ってもなお「アガモッドの眼」を身に着けています。タイムストーンを制御し封印するために使用していた「アガモッドの眼」ですが、それ単体でも非常に強い能力があります。こちらにも注目してください。

 「アガモッドの眼」には “すべてを見通す力” があり、本作でもストレンジがその力を何度か使用します。それ以外にも、”麻痺の凝視” “魅了の眼差し” という力があります。元々、この遺物は「エターナルズ」という2021年に放映された映画に登場する神ヴィシャンティから授けられた古代の遺物です。そのヴィシャンティの一人アガモッドが創造したとのことです。この守り手としてストレンジが選ばれており、遺物の能力『眼』としてストレンジ自身が新たなステージに到達することも重要なポイントになります。

 

・秘密結社「イルミナティ」

 マーベルの原作でアイアンマンが発足した秘密結社「イルミナティ」が今作から初登場します。今作ではアース838という世界でアベンジャーズの変わりに世界を守る組織として出てきます。この秘密結社の内容を知っているファンであれば、どのようなメンツが出てくるか予想ができるでしょう。そして、そのメンバーがどれほど映画界にとって凄いことか理解できるでしょう。そう、あの予告編で登場したキャラクターが君臨しています。ただし、今作の監督を思い出してください。監督はサムライミです。サムライミが別世界のキャラクターをどのように扱うのか大体予想できるでしょう(笑)

 今作のイルミナティはアース838での組織であるため、あのままの状態で本世界線に関連してくることはないでしょう。豪華なメンツと、豪華なキャラクターが揃っている割に、ポップコーン片手に笑いながら観ることができる展開です。サムライミがファンの期待をどう実現したのかは注目ポイントです。

 

 

 


 

④ 本編を見た筆者の感想

 ここでは筆者の感想を踏まえながら「ドクターストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」を振り返ろうと思います。※ 多少ネタバレがありますので注意してください

総評

 今作はとにかく面白かったというのが率直な感想です。マルチバースという何が起こっても不思議じゃない世界観を、素晴らしい映像美と迫力で表現しています。上映時間は126分と予想よりも長い尺が取られており、最初から最後までハチャメチャ展開が繰り広げられて、エンターテイメントとしては◎(二重丸)、一切飽きないジェットコースター作品でした。

 魔法によるバトル以外にも、意外な登場人物によるバトルもあって、今まで見たことのない映画になっていました。マルチバースによって一種のマンネリを吹き飛ばした作品になっていますし、序盤の伏線を最終盤で回収する展開もうまく練られていたと思います。強引?いやいやそんな(笑)

監督サム・ライミの評価は賛否両論

 監督のサムライミは「死霊のはらわた」「海外版呪怨」などでも知られている監督であるためか、急にキャラクターが出てきて驚かせる演出があったり、ゾンビや悪霊を戦闘に使用したりと、やりたい放題な感じもありました。これはMCU作品ではあまり無い傾向なので、ファンとしてはちょっと苦笑いな部分もあったのは事実です。それでも映画の評価が高いのは、その異色さを受け止められるほど完成度が高かったためでしょう。ドクターストレンジが魔法使いということもあり、自然と受け止められたのかもしれませんね。

 ただ、展開が多少強引で「そりゃねーよ」っていう部分もありました。サムライミの雑な部分が出てたのも事実です。パニック映画のオマージュのように、ワンダに足を引きずらせてゾンビ映画やってみたり、ストレンジでも壊せない壁を一般人が消火器で破壊しようとしたり….都合よく重要なアイテムが置いてあったり….。そういう強引な展開が気になって眠れない人はモヤモヤするかもしれません。

ファンサービスの登場人物についての評価

 期待していたファンサービスの登場人物についてですが、結果は【嬉しさ半分】【悲しさ半分】でした。アース838で出てきた秘密組織イルミナティについてです。ファンにとってはたまらない登場人物6人が出てくるわりに残念な展開。マルチバースということもあってか、他世界のヒーローは薄味に描かれることが多いです….

 まぁ、ワンダが強すぎるから仕方ないという考え方もできますし、所謂ファンサービスのような部分が大きかったと捉えることで心を落ち着かせました。今作のように、X-MENのプロフェッサーXがマーベル映画に出てくるというのは、MARVELの歴史を知らない人にはピンとこないかもしれませんが凄いことなので少し語らせてください。

 もともとMARVELという会社が「スパイダーマン」「X-MEN」「ファンタスティック4」等の生みの親ではありますが、経営不振から版権を売ってしまったんです。スパイダーマンはコロンビア、X-MENは20世紀FOXが配給元となり映画化されてきました。その間MARVELとしては版権がないので、キャラクターを同じ設定で登場させることができなかったんです。しかし、MARVELや配給会社がDisnyに買収されたことでDisny傘下となり、スパイダーマンがマルチバースという世界で同じ俳優で揃うことができたり、プロフェッサーXをそのまま出すことができたのです。これらのキャラクターの登場は本当に凄いことなんです! ファンサービスという目線で見れば最高ではありますが、もっと活躍が見たかったというのが本音です。プロフェッサーXや、そのほかのキャラを雑に使ったサムライミは思い返せば許せないかも(笑)

ストレンジの躍進はこれからも止まらない

 マーベル映画のラストは、次回作に繋がるミッドクレジットとエンドクレジットが差し込まれています。今作のミッドクレジットも次回作へ繋がる主要人物の登場がありました。もう間違いなく彼女やんけ!

 


 

ということで、ネタバレ少量で最新作「ドクターストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」の紹介をさせていただきました。

本作を評価するのなら ☆4 (5点満点)!難癖付けたい部分はありますが高評価の映画です。

間違いなく楽しめる作品に仕上がっているので、まだ観ていない方は映画館までレッツゴー!

 

■ドクターストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス公式

https://marvel.disney.co.jp/movie/dr-strange2.html

 

直近のマーベル作品列挙

■影の救世主「ムーンナイト」がDisny+で放送中!

 https://disneyplus.disney.co.jp/program/moon-knight.html

■次世代アベンジャーズの一人「Ms.マーベル」が6/8からDisny+で放送開始!

 https://disneyplus.disney.co.jp/program/ms-marvel.html

■雷神ソーの最新作「ソー:ラブ&サンダー」が7/8に全国ロードショー!

 https://marvel.disney.co.jp/movie/thor-love-and-thunder.html

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