ニューアルバム発売までに押さえておきたい『syrup16g』の名曲18選!【ライブセトリのように曲順も組んでいます】

今回は、11月23日(水)に5年ぶりのニューアルバム「Les Misé blue」のリリースを発表した『syrup16g』について、彼等の音楽に触れる機会がなかった人に向けて「名曲18選」を紹介します。

『syrup16g』は、Vo.五十嵐の持つ特徴的な声と、人間味のある歌詞が魅力です。表立った活動をする期間が限られているバンドでありながら、バンドマンや音楽愛好家から高い支持を集めているバンドでもあります。

そんな彼らの魅力が詰まった18曲を、ライブセットリストのように組み上げてお届けします!

 

↓↓↓ syrup16gがどんなバンドか紹介している記事は以下より ↓↓↓

内部リンク:syrup16gの魅力を余すことなく紹介するページ

 

 

『syrup16g』の名曲18選

今回、楽曲を選ぶうえで考慮した点は以下の2点です。

  • 『syrup16g』を知らない人にオススメしたい楽曲
  • ファンの目線から絶対に聴いてほしい楽曲

この2点から抜粋した楽曲を、約1時間30分になるように18曲まで絞りました。

というのも、今回の選出にはテーマがあります。そのテーマは「ライブセットリストのように最初から最後まで楽しめる曲順でお届けする」です。

18曲を最初から最後まで聴いていただくことで、実際に『syrup16g』のライブに行ったときのように心揺さぶられる気持ちになること間違いなし!

ファンの目線からも納得の選曲であると自負しております!

 

では、さっそく名曲18選をどうぞ!

 

 

 

 

Apple Musicプレイリスト

プレイリストを作成したので、実際に楽曲を聴きながらお楽しみください!

 

① 光のような

2017年11月8日にリリースされたアルバム「delaidback」収録。

本楽曲は、2008年に『syrup16g』が解散した際に、Vo.五十嵐が結成したバンド『犬が吠える』にて演奏されたものです。そして時は流れ『syrup16g』再結成後、過去に制作した未発表楽曲を再レコーディングして収録するというコンセプトから生み出されたアルバム「delaidback」にて音源化されました。

この楽曲の良さはなんといっても、Vo.五十嵐がため込んだ虚構のような歌詞とメロディです。

『syrup16g』が解散した虚無感や失望感というものが詰め込まれた歌詞、それでいて温かく包み込むようなメロディラインが光ります。Cメロの歌詞「退屈を感じれるひとも つまらないと投げ出すことも とても羨ましく思えるよ」に全てが詰まっている。五十嵐自身の浮き沈みのようなものが前面に現れている名曲です。

中央線が止まっても

最終に乗り遅れても

この生活は 終わらない

退屈を感じれるひとも

つまらないと 投げ出すことも

とても羨ましく 思えるよ

 


 

② 夢

2003年12月17日にリリースされたシングル「My Song」収録。

ネガティブな気持ちに対して、皮肉りながらも誠実に向き合った歌詞が魅力的な一曲。

この時代の『syrup16g』は数ヵ月の間に新譜をポンポンと出すような状態でした。矢継ぎ早にすべてが進んでしまって、ありふれた幸せというものを幸せとして受け止められない状況だった自分自身について歌っている楽曲です。ふわっとした概念としてある虚構の「夢」について “こんなものだったのかな?” と自問自答しているようにも思えます。

終盤のメロの歌詞で「有名になりたいな」という部分を「夢ぇいになりたいな」とタイトルに掛けながら歌い上げることで、“有名になることの夢のまた夢” と遠回しに歌っています。更には、自分たちの生み出した音楽を “ゴミ” とまで表現する。相当苦悩していた五十嵐の心の本音が吐露されています。

しかし、そのリアルな気持ちが名曲を生み出したといっても過言ではありません。

自分の追い求めていたものが、理想とかけ離れていたという経験がある人に刺ささることでしょう。

本気でいらないんだ

幸せはヤバイんだ

煮詰まって 妥協して

生み落とす 燃えないゴミ

半透明の袋で 燃やせないゴミ

 


 

③ Sonic Disorder

1999年12月25日にリリースされたアルバム「Free Throw」収録。

地を這うような重低音のベースが鳴り響く曲入り。この入りが格好良すぎて何度もリピートする人が続出しました。それほどに印象的で、『syrup16g』の顔にもなっている楽曲のひとつです。

彼らが彼らたる所以として、“ダウナーでありながら静かに自分自身のモヤモヤを発散するロック” が根底にあると思います。そのダウナーな部分こそ、一瞬でテンションをぶち上げる引き金になっているんですよね。『syrup16g』の良さがこの1曲に “これでもか” と詰まった名曲です。

ちなみに、2004年9月22日にリリースされたアルバム「delayedead」にて再レコーディングされています。再レコーディングではリズム隊の”音”・”テンポ”・”楽曲入り”に違いがあります。ここは好みが分かれるところです。

いつかは花も

枯れる様に

壊れちまったね

ここは恐いね

 


 

④ 天才

2010年10月27日にリリースされたアルバム「coup d’Etat」収録。

まさに、『syrup16g』の地を這うようなロック魂が開花した一曲となっています。

昔は良かった、あの頃はもっとしっかりしてた、という人間誰しも抱える過去と現在の対比。それをVo.五十嵐の遊び心溢れる歌詞センスで、ユーモアあふれる楽曲に仕上げています。

楽曲の構成も面白いものとなっています。Vo.五十嵐の苦痛の表情で弾くギターソロの格好良さ・Ba.きただ と息を合わせる音の重なりが豊かなメロ・実はハイテンポのペース配分といった、ロックが詰まった1曲です。ライブでは毎回披露されるほどの人気曲となっています。

誰もいないこの国なら王様にでもなれる

そうもいかねえ

後から向こうから端っこから陸海空

遊ばない カラまない 力合わせたくない

 


 

⑤ メリモ

2004年4月21日にリリースされたアルバム「Mouth to Mouse」収録。

楽曲タイトルとなっている「メリモ」とはMERRY MOREという意味で、”もっと陽気な雰囲気で”という意味があります。『syrup16g』としての陽気な部分がまさに詰まっている楽曲ですが、初めて聴く人には「どこが陽気なんだろう」と首をかしげてしまうほどに化けの皮を被った様相なんです。

アルペジオから続くコード引き、ゆったりとした雰囲気から怒涛のラッシュをかけるリズム隊。それでいて、怠惰を切り裂くような歌詞と音の重なりが彼らなりの “陽気” なんです。

メンバーなりに「甘さ」とか「弱さ」という部分を垂れ流しながら、その雰囲気を弾劾するという。そういう内面的に溢れる怒りのようなものが発散される楽曲になっています。

一度聴いたら耳から離れない「絶対買いの絶対ってなに?」。歌詞にも注目です。

生きんのがつらいとかしんどいとかめんどくさいとか

そんな事が言いたくて えっらそうに言いたくて

二酸化炭素吐いてんじゃねぇよ

 


 

⑥ 愛と理非道

2002年9月25日にリリースされたアルバム「delayed」収録。

強いディレイを効かせたぼんやりとしたギターに、希望的な歌詞が載った名曲です。ぼんやりとした音が使われていて輪郭が掴めない部分が理非道的。それでもベースやドラムはしっかりと音の輪郭を保っているためメリハリが付けられている楽曲です。

この雰囲気は『syrup16g』だからこそ出せる味です。

「曖昧な手振りで 死んだ振りeveryday」「いいなぁ そしてこの世はそっと終わっていく」という音ハメに近いぼんやりとした歌詞は、抽象的でありながら実に魅力的です。

本楽曲は、バンドのデモ音源として結成当初から歌われており、正式に音源化されたのは「delayed」になります。2010年に再販された1stAlbum「Free Throw」では、bonus tracksとして収録されています。

目が覚めて

空の頭閉じて

切り裂いた昨日はもう光に舞っていた

希望は誰かの手だ

俺は持っていない

 


 

⑦ もったいない

2003年3月19日にリリースされたアルバム「HELL-SEE」収録。

悲しくもない、何もない、反省も後悔もない、感傷すらくだらない。という感情があるからこそ芽生える非合理なものすべてが「もったいない」と歌うぶっとんだ楽曲。

筆者が『syrup16g』を聴くうえで一番聴いてもらいたい超名曲。絶対に聴いてほしい。

「もったいないなら代わって」「そこに居ないならわかんねぇ」と皮肉交じりの拒絶が、ゆったりとしたメロディから溢れ出てくる。これこそまさに彼らの音楽の根底にある世界観です。アルバム「HELL-SEE」はとにかく名曲のオンパレードなので、どのアルバムを聴いた方がいいかという質問が来たのならば即答で本アルバムを勧めることでしょう。それほどに良いんです。

悲しくはない悲しくなんかない全然

何もせずに過ぎていく

からっぽの部屋

からっぽになった MySelf

何の為に生きている

謝ってもいない反省もしない全然

ずっとここで待っている

後悔はない感傷もくだらない

君をここで待っている

 


 

⑧ ex.人間

2003年3月19日にリリースされたアルバム「HELL-SEE」収録。

ポリスというバンドの「Every Breath You Take」という楽曲をアレンジしたのが本楽曲。

人間の根底には “待っている人が必要だね” という人間味溢れる歌詞、それでいて興味のない人間にはまったく感情を抱かない、そういう緩急があってこそ人間だと歌う楽曲。それを裏返せば恐怖であって、人間が生きることすべて恐怖の連続じゃないかと悟る主人公を描いています。

大サビの歌詞「今度来るとき電話して 美味しいお蕎麦屋さん見つけたから今度行こう」という部分に人間味を出してしまう。そういう “自分勝手な男であり一人の人間なんです” という展開で分かる通り、実は毒を吐きまくっている楽曲。

MVのVo.五十嵐が可愛いというのでも有名です。

少し何か入れないと

体に障ると彼女は言った

今度来る時電話して

美味しいお蕎麦屋さん

見つけたから

今度行こう

 


 

⑨ 生きたいよ

2002年6月19日にリリースされたアルバム「coup d’Etat」収録。

シンプルなビート、のっぺりとしたサビを徹底した実に秀逸な一曲。

“どう頑張っても死ぬことができないから「生きたいよ」って言ってやる” 、という歌詞がまさに『syrup16g』そのものです。願望が叶えられない気持ちの裏返しを音楽という方法でさらけ出す、これぞ彼らなりのアンサーソングです。

自分達の音楽を「ただの生ごみ」と表現しながらも、その「ただの生ごみ」で飯食わせてもらってるんだから訳ねぇぜとも表現する。答えは決まっているけれど、自分の気持ちが整理できない悩みを持っている人に響く名曲です。

味がしないこの世界も

上手に食べてしまいたいなぁ

心がない 感情がないとか言ってさ

本当はあなたが

怖かっただけ

 

 


 

⑩ 4月のシャイボーイ

2017年11月8日にリリースされたアルバム「delaidback」収録。

結成当初から既に楽曲が出来上がっていながらも、再結成後の2017年に音源化となった楽曲。アルバム「Free Throw」の時代を彷彿とさせるアップテンポが印象的です。

それでありながら、メロ部分は音程を上げ下げすることで聴く人に印象付けをするアプローチが光ります。「なんもいいことがねぇ」と歌いながらも、こういう平凡な人生が幸せなんだよという想いが込められている。彼らの音楽を真正面から受け止めると「暗いな」とか「ひねくれてるな」と思うかもしれませんが、彼らが歌う音楽は人間の本質そのものなんです。

そういう人間の素の部分が、評価される要因なんだということが分かる一曲です。

未来 数秒前の 現在進行形

多分大丈夫って 幻想 毎分指定

破壊衝動 周到 構想三週目

無いものねだり 青春は会員制

 


 

⑪ 生活

2001年10月5日にリリースされたアルバム「COPY」収録。

『syrup16g』という名前を広く知らしめるきっかけになった楽曲です。当時はフラッシュという形式のWeb動画が流行ったのですが、本楽曲のそのフラッシュ動画がいち早く作られたことで多くの人の耳に届いたという経緯があります。

ライブでも定番の楽曲であり、ライブ中盤のパワープッシュとして使用されます。

楽曲構成も当時の『syrup16g』を色濃く表しています。Aメロ→Aメロ→サビ→Aメロ→Aメロ→サビ…、というようにサビ前の転調を入れないことで一本調の楽曲に仕上げています。メロ自体が非常に完成度の高いため、シンプルながらも耳に残る構成になっているのです。

「生活」を営む上で繰り返される怠惰と、愛する人を持ちながらも何も変えられないリアルな情景が浮かぶ歌詞。この楽曲を聴いていた思春期真っただ中の自分は、まったりとしたロックであるにも関わらず全身が痺れるほどの格好良さを感じました。

君に存在価値はあるか

そしてその根拠とは何だ

涙流してりゃ悲しいか

心なんて一生不安さ

 


 

⑫ You Say ‘No’

2006年8月23日にリリースされたベストアルバム「動脈」収録。

「プリン買って帰ろうかな今夜は、お金なんてあんまいらないのな」という歌詞が印象的な名曲。

アルペジオに砕けた表現の言葉が乗って、独特な世界観を生み出しています。リアルを追求した歌詞が当時は少なかったということもあり、不思議な魅力を感じずにはいられなかったのを覚えています。更には、Cメロでは希望を見出すような歌詞をはさむという徹底した楽曲作りが完成度の高さを物語っています。

希望的な部分もありますが、それでも「You Say ‘No’」なんです。

どれだけ上手くやろうとしても「No」と言われてしまう、自分の心変わりだけではどうすることもできないことがあるんだというリアルを丁寧に描いている。是非、聴いてもらいたい一曲です。

風邪こじらして 大丈夫そうな振りして

気取ったって ぎこちない日々さ

プリン買って 帰ろうかな今夜は

お金なんて あんまいらないのな

 


 

⑬ 赤いカラス

2017年11月8日にリリースされたアルバム「delaidback」収録。

『syrup16g』解散後に、Vo.五十嵐が結成したバンド『犬が吠える』で披露された楽曲。『犬が吠える』としての活動はなかったものの、五十嵐がフロントマンとしての復活を果たしたライブ「生還」では本楽曲が披露されて大きな反響を呼びました。

ライブで披露された「赤いカラス」から歌詞が変更されてアルバムに収録される運びとなり、ファンの中でも変更前と変更後で好きな方が分かれるという評価を受けています。それでも、どちらのバージョンも名曲であることは変わりなく、歌詞変更後の世界観は深みを増して顔色豊かです。

耳に残るメロディは、多くのバンドマンや作曲家から高く評価されています。不安定な感情が投影される彼らの音楽がここまで高く評価されるということの意味。それはまさしく、五十嵐が持っている不安定ながらも揺れ動く才能のたまものです。

彼らの音楽を語る上で忘れることができない名曲であるため、要チェックの楽曲です。

赦せなかった私怨も

今は霧のようです

僅かばかりの未練に

すがり付いてみたのです

蒸し返された徒労に

ひとは耐えられるのでしょうか

せめて誰かの虚構の海で

溺れたいのです

 


 

⑭ Reborn

2010年9月25日にリリースされたアルバム「delayed」収録。

『syrup16g』の代名詞ともいえる楽曲でしょう。彼らの音楽を聴いたことがない人でも本楽曲は知っているという人が結構いると思います。

本楽曲が収録されているアルバム「delayed」の収録曲は、全体的に音の旋律を意識して制作されています。優しさの中にちょっとセンチな気分にさせる仕掛けが施されている楽曲が多く収録されています。「Reborn」もその中の一つという括りで評価できると思います。

Vo.五十嵐本人が “Rebornは曲として完成度が高い” と珍しく高評価を出している楽曲でもあります。

「短い人生の中で、愛する人と過ごせる短い幸せを長く噛みしめて生まれ変わっていこう」という想いが込められています。誰かと出会って直ぐに幸せになることはなく、お互いがお互いを認めながら支え合うことで幸せになっていく人間の本質が描かれています。

本楽曲は、Mr.Childrenの櫻井和寿がBank Bandにおいてカバーしており、「沿志奏逢3」というアルバムに収録されています。

昨日より今日が素晴らしい日なんて

わかってる そんな事 当たり前の事さ

時間は流れて僕等は歳を取り

汚れて傷付いて

生まれ変わっていくのさ

 


 

⑮ 冷たい掌

2015年5月20日にリリースされたアルバム「Kranke」収録。

アルバム「Kranke」は、まさに彼らの重厚なロックが響き渡る素晴らしい作品といえます。アルバムの1曲目として収録されている本楽曲は、近年の彼らが送る至極のバラードとなっています。

歌詞は、引きこもり時代のVo.五十嵐が滲み出た渾身の仕上がり。歌いだしの歌詞「冷静になり 状況把握して 反省もほどほどに貴方を忘れた」「三階建ての階段上って 眺める景色がすべてだったから」という狭い世界で生きている自分自身を真っすぐ投影している。

それでいてサビは開放的。サビの歌詞もシンプルで分かりやすい。ここまで完璧な構成を突き付けられると、やはり五十嵐は稀代の天才なのだと実感する。

非常に分かりやすく、それでいて奥深い楽曲はどの年代にも響く名曲です。

冷静になり 状況把握して

反省もほどほどに 貴方を忘れた

三階建ての階段上って

眺める景色が すべてだったから

 


 

⑯ ハミングバード

2010年10月27日にリリースされたアルバム「Mouth to Mouse」収録。

王道の8ビートを刻みながら、アコギでしめやかに進行。メロディラインがとても美しく、大サビでオクターブ上がる仕掛けが綺麗にハマっている楽曲です。

歌詞も秀逸で、「~しました」という口語の言い回しで進行する歌詞は親近感が沸くほどに身近に寄りそってくれる。Aメロで「苦しんだ割には実りは少ないな 缶チューハイを今夜も2缶空けました」という歌詞をもってくるのは秀逸極まりない完成度。缶チューハイを更に開けたくなるほど語りたい、そんな楽曲でしょう。

大サビでは美しくも儚い生命について想いを馳せており、感受性豊かな表現方法が光っています。

次に紹介する「センチメンタル」と合わせてデトックス効果のある楽曲として聴いてみることをオススメします。疲れたあなたにピッタリの世界観に没入することができます。

セミだって花だって

悲しいと思える

人間の感性を

自分は愛している

 


 

⑰ センチメンタル

2010年9月25日にリリースされたアルバム「delayed」収録。

言わずと知れた『syrup16g』の名曲。本当に心がぶっ壊れそうな時に聴いてほしい、そういう楽曲が続いています。本楽曲もそういうデトックス効果のある1曲となっています。

「通信簿に書かれたよ 協調性に欠けてます」という歌詞は、このバンド以外で見たことがありません。こういう現実味のあるトゲトゲしさを表立って発信してくれるバンドは貴重です。

どん底にいる自分自身を投影することで、聴く人が楽曲の中に引き込まれていく作り。これこそ『syrup16g』が評価される負のプラスエネルギーです。彼らの楽曲は、どこか暗い影を落としているようで全く暗くないんです。それこそが正真正銘のリアル。彼らの音楽はそういうリアルな感情に寄り添うことで、「一緒にいるよ」と自然に温めてくれる存在なんです。

センチメンタルな気持ちになっても、それは別に間違いじゃなくて。晴れるための第一歩なんだよという前向きな気持ちも混ざり合っているような気がします。

白けた顔して進め

今しかないとか言って

妄想 もうよそう

 


 

⑱ 明日を落としても

1999年12月25日にリリースされたアルバム「Free Throw」収録。

バンド初期の楽曲であり、代表曲として歌い続けられているのが本楽曲。もともとはアルバム「Free Throw」をリリースする前にデモテープとして配布されていた楽曲で、『syrup16g』の原点とも呼べる楽曲の一つです。(彼らは初期の頃から温めた未発表曲を、今になってリリースすることもありますが…)

その後、2004年にリリースしたアルバム「delayedead」で再レコーディングされることになります。当時のメンバー間の不協和音がモロに反映されたアレンジとなっており、音の厚みが増した分、当時の物悲しい雰囲気が好きな人には物足りないアレンジとなっています。筆者は「Free Throw」版が好きです!

気が滅入ることばかりで辛いとも思わなくなった心。その気持ちを少しでも紛らわすために生まれた楽曲と五十嵐本人が語っています。

楽曲の構成は、当時の『syrup16g』がよく用いていた特有の構成となっています。それは、サビ前にBメロを配置せず、Aメロをアレンジすることでサビを盛り上げるというもの。これによって、聴く人に歌詞の内容を浸透させて世界観を構成することができるのです。(当時の五十嵐が意図していたかは不明。)

メロと歌詞を繰り返す形式は、2000年台初頭のバンドとしては珍しいものでした。そこに、「無理して生きてる事も無い」「明日を落としても誰も拾ってくれないよ」「それでいいよ」とどん底にいる人を肯定してくれる歌詞が加わり。唯一無二の安心感で包み込んでくれます。

生きることに疲れたとき、「がんばれ」とか「話きこうか?」という言葉は逆に辛いですよね。そういう時に本当に寄りそってくれるのが『syrup16g』の音楽なのだと思います。

つらい事ばかりで

心も枯れて

あきらめるのにも慣れて

したいことも無くて

する気も無いなら

無理して生きてる事も無い

 

 

 

まとめ

長年のファンが選ぶ『syrup16g』の名曲18選はいかがだったでしょうか。

 

「音楽」も「生きる」ことも、どちらも中途半端になっている自分自身の弱さを重ねている楽曲は、同じ気持ちを抱えている人に深く突き刺さるものばかりです。

今回紹介した18曲を聴いて、このバンドにハマったという人がいましたら大変嬉しく思います。その他の楽曲も名曲揃いなので聴いてみてください。筆者が特にオススメのアルバムは「HELL-SEE」です。真っ赤なジャケットが目を引くCDです。

また、2022年11月23日にはニューアルバム「Les Misé blue」がリリースされます。最新リリース情報は以下の記事でまとめていますので、同時にチェックしてみてください!

Syrup16gが新譜『Les Misé blue』とワンマンの開催を発表。Vo.五十嵐渾身のアルバムに期待が膨らむ!

 


『syrup16g』の作品はAmazonからの購入がオススメです。


 

リンク

syrup16g公式

■ 今回紹介した楽曲のiTunesリンク

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