「ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密」感想レビュー

4/16(土)にレイトショーで「ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密」を観てきました。

私はハリーポッターの原作・映画とドンピシャな世代のため、リアルタイムで追いかけてきた思い入れが強い作品でもあります。

映画が始まるまでにショッピングモールで買い物をしていたのですが、もう頭はファンタビでいっぱい。マッツミケルセンでいっぱい。脳がファンタジーを求めていました。

今回は、上記映画についてネタバレ無しで感想を記載させていただこうと思います。

 

-ファンタスティック・ビーストについて-

作品について知らない方もいると思いますので簡単に「ファンタスティック・ビースト」という作品について紹介します。

物語は、ハリーポッターシリーズから70年前。魔法族と非魔法族(マグル/ノーマジ)との間で差別や確執が強かった時代、史上最悪の魔法使い”グリンデルバルド”が非魔法族の支配を目論んでいた。

それを阻止すべく、魔法動物学者の”ニュートスキャマンダー”、偉大な魔法使い”アルバス・ダンブルドア”等が異種混合チームを組み悪の打倒に奔走する。

 

-1作目、2作目の状況整理 (ストーリーの大筋)-

1作目「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」

 主人公であるニュートは、世界中を旅して魔法動物を保護・生体の調査を行っている学者です。彼は後にハリーポッターシリーズでハリー達が授業で使用する教科書「幻の動物とその生息地」の著者であり。後世に語り継がれる偉大な功績を収めた魔法使いの一人です。彼を主軸とした物語です。

 ニュートが飼育していた魔法動物が脱走したことにより、非魔法族や、イギリス魔法省、アメリカ魔法省を巻き込んだ騒動へと発展していきました。この時、既にグリンデルバルドは非魔法族に対する残虐行為に及んでおり、魔法界では大変なニュースとなっていました。

 その最中、クリーデンスという青年の身体に潜む蝕む力 “オブスキュラス” に目を付けたグリンデルバルドが彼を利用しようと引き込んでいきます。暴走したオブスキュラスと、グリンデルバルドを阻止するためにニュート達は協力して奔走します。そして、グリンデルバルドの実質的な支配の影を感じたニュートは、恩師であるダンブルドアのもとを訪れ助力を頼みますが、そこで驚きの言葉を耳にします。かつて、ダンブルドアとグリンデルバルドは愛し合い、共に目指す場所が同じだったと…そしてお互いを傷つけない強力な魔法【血の誓い】を交わしたと。

2作目「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」

 1作目で逮捕されたグリンデルバルドは移送される最中強大な魔法を使用して脱獄。クリーデンスを狙い暗躍します。魔法省は最悪の魔法使いに唯一対抗できる人物であるダンブルドアを説得しにホグワーツ魔法学校を訪れるが、ダンブルドアは協力を拒否( 血の誓いのため)する。ダンブルドアは魔法省に監視されることとなり、直接ニュート達へ協力ができない状況となり、陰で助力することに…

 ニュートは仲間のもとを訪れるが、アメリカで禁止されている「魔法使いと非魔法使いの結婚」が魔法によって非合理で行われていることを見て魔法を解除。それが原因で出ていった仲間たちを追ってパリへと密入国します。

 強大な蝕みの力を持ったまま自分探しの旅に出ていたクリーデンスは、サーカス団へと身を隠して自分の出生の謎を突き止めようとしていました。そこにはハリーポッターシリーズで登場する悪役ヴォルデモートの傍にいる蛇「ナギニ」が人の姿で寄り添っており。クリーデンスを守るために力を貸します。しかし、ナギニの介抱とは裏腹に出生の謎を知りたいという願望の強いクリーデンスは、グリンデルバルドに見つかり【信者への演説】に参加するように促されます。結果的に、【信者への演説】を始めたグリンデルバルドによってクリーデンスは引き込まれてしまうのです。そこには、ニュート達の仲間や多くの魔法使いの姿があり。引き込まれた者、または死亡した者が多く出る事態となりました。グリンデルバルドの策略は始まってしまったのです。

 悲劇はありましたが、魔法動物の活躍によりダンブルドアとグリンデルバルドの立てた【血の誓い】によって生み出された「血のバイアル」を盗み出すことに成功したニュート。血のバイアルをダンブルドアの元へ渡すのでした。【血の誓い】を破り、グリンデルバルドを止めるために旅へ出ます。

 

 

 

 

-3作目「ダンブルドアの秘密」についての感想-

 未来の見えるグリンデルバルドに対抗するために、ダンブルドアチームとして「行き当たりばったり作戦」で翻弄し、悪事の根幹を止めるのが3作目のおおまかなあらすじです。そこにダンブルドアとグリンデルバルドの過去や、心から清き者を見極める希少魔法生物『麒麟』を追い求めるバトルが相まって、とても重厚なストーリーです。

①全体の感想

 まず率直に「完成度が高かった」です。2作目でJ.K.ローリング一人で仕上げた脚本が、終始暗い展開と、政治示唆ともとれるような内容で作品に暗い影を落としていたように思います。1作目がとびぬけたファンタジー映画の続編としてワクワク感もあっただけに、2作目の大人向けな内容は首をかしげるものでしたよね。

 今作は、J.K.ローリングとスティーブ・クローブスの2人が共作で脚本を手掛けています。違う視点が入ることにより、1作目のようなコミカルな展開も多く、バトル描写も派手で、なにより映像がとても美しいものになっていました。深夜のレイトショーで観に行ったのですが全く眠気に襲われることなく最後まで引き込まれる展開でした。グリンデルバルド役のジョニーデップが不倫騒動で降板となり、新たにマッツ・ミケルセンが配役されたのですが、これは大当たりだったと言えます。マッツのグリンデルバルドについては後述させていただきます。

 ※ マッツのJ.K.ローリングに対する発言をまとめたインタビュー記事はこちらから

 

 そして、今作はダンブルドアとグリンデルバルドの戦いにおける一つの終着点ともなるストーリーです。2人の偉大な魔法使いの過去の過ちや、現在の葛藤が色濃く垣間見えて感慨深いものでした。最強の杖であるニワトコの杖を所持しているグリンデルバルドと渡り合うことができるほどの力を持つダンブルドアのバトルも、少ない時間ながら圧倒されました。特別な存在だけを引きずり込む『精神世界』での魔法バトルはどこかミュージカルのようでしたが、私のイメージには合っていたので良い演出だったと評価できます。ダンブルドアとクリーデンスのバトルもあり、ダンブルドア無双が見れて嬉しくもりました。

 映画の構成として話をするのであれば、2時間30分にまとめる上でストーリーの大半が「ご都合展開」になっているのは苦しい部分だったでしょうか。主人公の前に現れる障壁が、浅いご都合展開で突破できてしまうというファンタジー特有の進行が目立ちました。そう思うと今作は子供達でも楽しめるような構成で、深く考えずに見れる映画になっているのはプラスでもマイナスでもあると思います。

 

②ダンブルドアの秘密と、弟アバーフォースの重要性

 副題にもなっている『ダンブルドアの秘密』は2つあったと考えられます。1つ目は、ニュート及び映画版を見ている視聴者に向けた秘密。2つ目は弟のアバーフォースに向けた秘密です。この副題は本作では自然と話に絡んでくるため、観る側は意識せずとも大丈夫ですが、深い内容となっています。

 ハリーポッターを原作から読んでいる人にとって、アルバス・ダンブルドアの弟、”アバーフォース”の活躍はとても嬉しいものでした。アルバスとアバーフォースは過去の事件がきっかけで仲違いに近い状態となっていましたが、その理由と葛藤が本作で明確に映像化されました。妹の命を奪うきっかけとなった話です。これは、原作では語られていますが、映画では初めて明確に語られるため、見方によっては「視聴者に向けたダンブルドアの秘密」でもあります。

 2つ目の秘密は、ファンタスティックビーストから初登場となるクリーデンスです。蝕む力を内に秘めたクリーデンスはとても重要な存在として描かれていました。そして、それは弟のアバーフォースに繋がるものでした。この秘密は原作を読んでいるファンも驚く展開だったので、クリーデンスを巡る『ダンブルドア一族の物語』としても、内容の濃い作品だったと言えます。これ以上はネタバレになるので控えさせてください!

 

③マッツミケルセン演じるグリンデルバルドの存在が大きい

 マッツミケルセンが演じるグリンデルバルドの存在も、今作を美しく彩った理由のひとつだと思います。

 前作のグリンデルバルドを演じたジョニーデップは、どこか人間味の無い、悪に染まった狂人という印象でした。しかし、マッツは動き一つ一つに色気があり、人間味のある「美しい狂気」を演出できる俳優のため、以前のグリンデルバルドとは全く違った演出がされていたように思います。

 マッツのグリンデルバルドは、登場シーンや演出が映画「ハンニバル」を連想させるほどに美しいものでした。動き一つ一つに色気があり、カメラの位置や見せ方が過去作と比較すると全く違いました。私はマッツミケルセンの大ファンで、画像や映像を集め、出演している作品やゲームをプレイするほどにどっぷりハマっているため。この配役は大興奮でした。大大大満足です!

 特に意識してほしいシーンは、マッツが魔法選挙に立候補され、車で観衆をかき分けて進むシーン。途中でドアを開けて観衆の中に飛び出していくんですが。観衆に身を預けて手を広げるシーンは恍惚としてしまう、かなりの名シーンではないでしょうか?

 1点、今作のマッツに対してではありませんが、モノ申すことがあるとするなら、それは演出監督に対してでしょう。それは、私がマッツのグリンデルバルドに対して求めていた「美しい狂気」の要素が少なかった為です。残忍なシーンがほとんど無く、狂気に踊るようなシーンがありませんでした。「美しい」がとにかく勝っていたんです!マッツには「狂気」で大暴れしてほしい!

 だから、振り出しに戻されてしまったマッツグリンデルバルドが、次回作で狂気に踊ることを楽しみにしています。

 

 

 

④ 次回作の展開がまさに肝

 ニュートの恋仲や、仲間たちのハッピーエンドもあるため、本作で一旦の区切りとなることは間違いありません。次回作ではグリンデルバルドが大きく舵を切った悪事をするでしょうし、本格的にダンブルドアが戦いに参戦するでしょう。ニュートも魔法使いの間ではかなり名のある存在ですし、「麒麟」のような神秘の力で押すよりも、武力の力で押す魔法動物が出てくる可能性が高いです。力には力で返すしかないという展開となり、バトル描写に拍車がかかることを期待します。

 クリーデンスのもとに不死鳥が現れていたため、クリーデンスの容体とアバーフォースに関しても気になります。( ダンブルドア一族には代々、危機の前触れとして不死鳥が現れる )….3部まではダンブルドアを倒すためにクリーデンスを操ろうとしていたグリンデルバルドが描かれました。命は短いとしても、グリンデルバルドを止めるために最後の力でクリーデンスが咲く可能性もあります。

 4部は、今までのルーティンとは違う展開になると予想していますが、最近のJ.K.ローリングが政治示唆や、イメージの失墜を自ら行っていることを思うと…少し怖いですね。それでも、この3作目が制作できたのなら期待できます。映画ファンが望んでいるのはシリアス展開とその『解放』です。良し悪しはありますが、期待していた以上だったので星☆☆☆☆★(4)を付けられる作品でした。

 

https://wwws.warnerbros.co.jp/fantasticbeasts/index.html

■魔法ワールド|ワーナー・ブラザーズ

https://warnerbros.co.jp/franchise/wizardingworld/

 

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