2023年2月3日の21:00から、amazarashiの新曲アンチノミーのMVが公開となりました。
MVでは、ニーアシリーズの生みの親であるヨコオタロウ氏が総指揮を担当しており、「仮説人形劇」と題して機械生命体を主人公にしたストーリーが繰り広げられます。
原作通り、敵がいなくなっては進化が止まってしまうが故、欠陥を残したまま生まれてしまう機械生命体の「命」について描かれるMV。見どころが詰まった映像です。
今回の記事は、ヨコオタロウ氏や、秋田ひろむ氏のコメントを踏まえながら『仮説人形劇 アンチノミー』を語りつくす内容となっています。
『仮説人形劇 アンチノミー』映像
歌詞
感情は持たないでください それがあってはこの先 きっと辛すぎる
人を愛さないでください 守るものが弱さになる きっと後悔するでしょう
嬉しくて笑い、悲しくて泣き 初めからそう設計されてんのかな
だけど痛いと泣く心を 僕は疑えやしないよ
意味を捨て意志をとれ 生き延びて 生き延びて 息をするんだ
「すぐ帰る」が遺言 アンチノミー アンチノミー 心のバグだ
人として憤れ 勘定を踏みにじる全てへ
機械仕掛けの涙 それに震えるこの心は誰のもの
自ら選択しないでください 革新によって安寧は揺らいでしまうので
情けはかけないでください 白と黒の間の無限の色彩に惑うでしょう
世界は数多の間、繰り返す 返答だけならば機械にだってできる
僕だけの迷いこそが 人の証左となるなら
意味を捨て意志をとれ 生き延びて 生き延びて 息をするんだ
自分殺し生きている アンチノミー アンチノミー 心のバグだ
人として憤れ 勘定を踏みにじる全てへ
機械仕掛けの涙 それに震えるこの心は誰のもの
治世は持たないでください それがあっては真実を知ってしまいます
君と僕の違いは何? 痛み喜びもこんなに似てる
似てるから求め合う? 憎しみ合う?
そういえば、この憎しみもよく似てる
涙声 離せない あなたの手 あなたの手 まだ温いんだ
屍として生まれ アンチノミー アンチノミー 世界のバグだ
人として憤れ 勘定を踏みにじる全てへ
機械仕掛けの涙 それに震えるこの心は誰のもの
ヨコオタロウ氏コメント
僕は『アンチノミー』は希望の歌だと思っています。『NieR:Automata』は、味方であるアンドロイド側も、敵である機械生命体側も、どちらも彼らを生み出した存在が■■■■■■■■■■■■■■■■■で戦いを続けている物語です。ある種、親がいない世界の喪失感を描いています。その不安感にどうやって向き合えばいいのか、ということが今回の人形劇のテーマとして描かれてるんですけど、そこから秋田さんの希望の光につなげる。人形劇の後に楽曲が続くことで初めて成立するというコンテンツを目指しました。
@amazarashi公式
秋田ひろむコメント
脚本を読み、ゲームのクエストに出てきそうなストーリーで嬉しくなりました。機械生命体たちの人形劇ですが、徐々に不穏な空気を纏いながら『アンチノミー』へと繋がります。
糸操り人形がかわいらしくもどこか滑稽で、でも葛藤や恐怖を感じさせる微細な動きと、舞台装置、CGが組み合わさって『NieR:Automata』の世界が再現されています。依頼心と抑圧の狭間で揺れ動く機械生命体がどこまでも人間らしく、これぞ『NieR』だという示唆に富んだストーリーでした。
現代を生きる僕たちには身につまされるものがあります。やはり最後のシーンがとても好きです。あまり詳しく言えないですが、『NieR』好きな人は見てほしいです。僕らの曲は飛ばしてでも
@amazarashi公式
『仮説人形劇 アンチノミー』感想
前回は、歌詞やメロディについて記載しました。
■【作品に込められた二律背反】amazarashi新譜「アンチノミー」を解剖レビュー。
今回はMVとなる、『仮説人形劇アンチノミー』について解剖していきましょう。
といっても、長くならないようコンパクトに記載しますのでよろしくお願いいたします。
予想していたよりも直球に「機械生命体の馴れ初め」を描いた内容で驚きました。
ニーアオートマタの世界において、機械生命体というのは「敵を殲滅する」ための存在として描かれています。MVは、機械生命体とアンドロイドの関係性について、機械生命体の目線で描かれた作品といえます。
作中において、機械生命体によって世界が滅んだ後、機械生命体とアンドロイドは数千年と戦争を続けていました。ゲームにおいて機械生命体の核は人智を超越した存在であり、アンドロイドを遥かに超越した力を持っています。
では何故、機械生命体はアンドロイドを滅ぼさなかったのか。
作品でも重要なところなので少し語りましょうか。
機械生命体の行動理論は「敵を殲滅する」ことのみでした。
そのため、自身の存在理由を失わないために、アンドロイドと同じパワーバランスになるまで意図的に欠陥品を製造して戦っています。
ただただ敵を殲滅するというプログラムに則って生き死にを繰り返す。そのことに疑問を感じた個体は暴走し、アダムとイブという “ストッパー” をも無視してしまいました。
そういう「アンチノミー」を抱えているのは機械だけではなく、人間の心にも当てはまるのではないか?という訴えを、映像・歌詞・音楽で表現したのが本作品の根幹にあるのは間違いありません。
人形劇に登場する個体は、ニーアーオートマタで敵として出てくるありふれた機械生命体です。
この個体を主人公にすることで、“アンドロイドの視点” と “機械生命体の視点” の両方を保管するような作品に仕上がっているのではないかと思います。
人間を守るために活動したが、最終的に人間に裏切られたアンドロイド。
機械が機械である理由を逸脱し、最終的に機械にも裏切られた機械生命体。
MV内でも108の煩悩が〇日目として描かれています。
煩悩というのは人間の心身を悩ませる事柄ですから、機械やアンドロイドでは感じることがない感情です。その感情を持ち合わせてしまうたびに崩壊する世界観は素晴らしいの一言に尽きます。
ニーアレプリカントでは人造人間の製造に失敗し、ニーアオートマタでは完全な機械になることも出来なかった。「人間」という本質を理解することは到底難しく、当の人間ですら理解できていない。
様々な次元で生じる矛盾を、ひとつなぎにしている作品だなぁと改めて実感しました。
MVの最後、アンドロイドと機械生命体の劇を見ていた人間は既に死んでいます。
そして、その劇を披露していた箱庭の外の世界は瓦礫に包まれて崩壊しているんです。
命令を下していた核は既に崩壊し、ただ駒だけが虚しく動く盤上のようなもの。
そういう虚しさが、15分の映像に目一杯詰まっていました。
これこそ、ヨコオタロウ氏と秋田ひろむ氏が描く、無常の世界だと感じます。
MVにストーリー性を持たせるのがあまり好きではない筆者ですが、これはストーリーを補完する物語だったので有りでした。
Apple Music
おわりに
ということで、今回はamazarashiの新曲「アンチノミー」のMVについて感想を簡単にまとめました。原作者のヨコオタロウ氏監修だったので、作品の核になる部分に触れていて素晴らしかったです。
やはり、最後にamazarashiの楽曲が流れる手前
部屋にいる人間は死んでいて、その外の世界は既に崩壊しているという構図に痺れました。
ニーアの世界観を一枚絵で表した素晴らしいカットだと思います。
さて、そんなamazarashiの「アンチノミー」ですが、2023年2月22日にリリースとなります。

初回生産限定版は、アジロブック付きの特殊パッケージ仕様です。
収録曲は、「アンチノミー」「心層廃棄物」「海洋生命」の3曲です。
更にBDとして、『仮説人形劇アンチノミー』『Behind The Scenes』を収録。
購入者特典は、購入場所によって異なるので以下をチェックしてください。
■ Amazon.co.jp特典。A4クリアファイル






■ 全国応援店

筆者は、Amazonで予約済みのため、ヨルハ二号のクリアファイルが届く予定です。
ニーア・オートマタファンの皆様は、どの特典を狙っていますでしょうか?
全部?
それは、秋田ひろむも「いや~、それはハハハ」と苦笑いですよ!
というわけで、今回の記事は以上となります。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。