2023年3月1日にsyrup16gは、アルバム『HELL-SEE』リリース20周年記念ツアーを開催する旨を発表しました。
彼らのリリースのなかでも異色の経歴があるアルバムでありながら、ファンや音楽関係者が口を揃えて傑作だと語る『HELL-SEE』。
今回の記事は、アルバム『HELL-SEE』がどのようなアルバムだったのかを解説しながら、ツアーに向けて熱い思いを語る記事です。
HELL-SEEとは

『HELL-SEE』とは、2003年3月19日にリリースされた、syrup16g通算4枚目のアルバムです。
シングルをリリースする予定で予算とスケジュールが組まれていたにも関わらず、Vo.五十嵐の「シングルを出したくない」という希望から、1,500円というシングル価格で15曲を収録しています。
コロムビアの地下ガレージで収録されており、編集や整音を最低限にしたことでLo-Fiサウンドを全面に打ち出した音質も魅力のアルバムです。
「地獄・見る」と「健康」という、相反する意味を混ぜ込んだダブルミーニングが光ります。
Ba.キタダマキがメンバーとして正式に活動を始めたアルバムであり、表題曲の「Hell-see」はキタダマキの提案するアイデアを取り入れて制作されています。
また、アルバムには、「へる氏ー」というキャラクターが描かれており、グッズやTシャツロゴなどに使用されています。
HELL-SEEを振り返る

当時を振り返る
『HELL-SEE』がリリースされたのは、筆者が中学生の頃。
姉と兄の影響でMDを再生するコンポを持っていたので、音楽に触れる機会が多い環境でした。
その頃は、Go!Go!7188やハイスタといったロックバンドを聴き漁る日々。そういう色濃いバンドのなかで確かに突き刺さる日本語の魅力を実感したアルバムが『HELL-SEE』だったのです。
筆者は中学生だったためCDを買うお金も無く、親に連れて行ってもらったTSUTAYAで借りてMDに焼き込んで聴きこむ日常でした。今思えば、syrup16gにハマったきっかけのようなアルバムです。
当時は子供でしたから、歌詞に込められたドス黒い感情や、Vo.五十嵐の悲痛な感情まで読み解くことはできていなかったと思います。それでも、一人の少年をロックの道に引きずり込むには十分でした。
『HELL-SEE』がリリースされた2003年3月付近は、アジカンの『崩壊アンプリファー』のメジャー版や、バクホンの『未来』がリリースされた時代で、一気に邦楽ロックに魅せられていったのを覚えています。
アルバムを振り返る
暗いだけではなく、天性のメロディメーカーVo.五十嵐の才能が開花しているのが「HELL-SEE」。
一辺倒に暗いということもなく、Ba.キタダマキの正式加入によって味付けの幅が広がっているのを感じることもできます。
もともとシングル楽曲をリリースする計画だったにも関わらず、その2~3曲分のスケジュールで15曲も作成してしまうのは異常極まりないことです。
更に、その全てが一聴の価値がある名曲ときたら、五十嵐の音楽センスを評価せずにはいられません。
「不眠症」や「ローラメット」「ex.人間」「正常」「吐く血」など歌詞が重い楽曲が多いアルバムですが、メロディラインはその重さを感じさせない軽快さを持ったものが多いです。
NirvanaやThe Policeのメロディラインを参考にしながらも、日本人の自分がどう新しい音楽として落とし込めるのか挑戦するという姿も感じられて熱い時代でもあります。
最終的には、五十嵐特有の耳に残る構成を生み出せるという点、そして異常なまでに暗い内面を歌詞に込められるという点。その2つが丁度よく混ざり合った楽曲が多いんですよね。
『HELL-SEE』の魅力はまさにそれです。
不穏なメロディラインを辿る表題曲「Hell-See」や「もったいない」は、五十嵐が抱える自己否定の精神と、その気持ちのアンサーが現れています。
「音楽やってるなんて幸せじゃないか」っていう人も多い、親は喜んでくれたりしたけど、俺自身は音楽を続けていけるとはまったく思っていなかった
@五十嵐インタビュー
他人からの評価はどうでもいいっていうスタンスだけれど、評価したりされたりすることは心のどこかでずっと引っかかっている。そういう五十嵐の悩みや感情が滲んでいる楽曲も多いです。
人は「健康」と判断するけれど、当の本人は「地獄を見てる」んだよという『HELL-SEE』のダブルミーニングが聴く人の感情を揺さぶります。
>>HELL-SEEのCD購入について(Amazon・タワーレコード)


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syrup16g:HELL-SEE
サインインせずとも視聴可能です。
syrup16g Tour 20th Anniversary “Live Hell-See”
開催概要
6月01日(木)豊洲PIT
OPEN 18:00 / START19:00
前売:スタンディング ¥5,500(ドリンク代別)
INFO:VINTAGE ROCK std.(03-3770-6900)
6月08日(木)仙台Rensa
OPEN 18:15 / START19:00
前売:スタンディング ¥5,500(ドリンク代別)
INFO:ノースロードミュージック(022-256-1000)
6月15日(木)岡山CRAZYMAMA KINGDOM
OPEN 18:15 / START19:00
前売:スタンディング ¥5,500(ドリンク代別)
INFO:YUMEBANCHI(086-231-3531)
6月16日(金)福岡DRUM LOGOS
OPEN 18:15 / START19:00
前売:スタンディング ¥5,500(ドリンク代別)
INFO:BEA(092-712-4221)
6月20日(火)柏PALOOZA
OPEN 18:30 / START19:00
前売:スタンディング ¥5,500(ドリンク代別)
INFO:VINTAGE ROCK std.(03-3770-6900)
6月22日(木)札幌PENNY LANE 24
OPEN 18:30 / START19:00
前売:スタンディング ¥5,500(ドリンク代別)
INFO:WESS(011-614-9999)
6月28日(水)大阪なんばHatch
OPEN 18:00 / START19:00
前売:1Fスタンディング ¥5,500 / 2F指定 ¥5,800 (ドリンク代別)
INFO:キョードーインフォメーション(0570-200-888)
6月29日(木)名古屋DIAMOND HALL
OPEN 18:15 / START19:00
前売:スタンディング ¥5,500(ドリンク代別)
INFO:JAILHOUSE(052-936-6041)
7月02日(日)横浜1000 CLUB
OPEN 16:30 / START17:30
前売:スタンディング ¥5,500(ドリンク代別)
INFO:VINTAGE ROCK std.(03-3770-6900)
7月05日(水)京都磔磔
OPEN 18:30 / START19:00
前売:スタンディング ¥5,500(ドリンク代別)
INFO:キョードーインフォメーション(0570-200-888)
オフィシャル先行
【オフィシャルサイト先行】
受付期間:03/01(水)19:00~03/13(月)23:59
受付URL:https://eplus.jp/syrup16g-2023hp/
結果確認日・入金受付期間:03/16(木)13:00~03/18(土)21:00
枚数制限:お1人様1公演につき4枚まで
発券開始:一般発売日~
ツアー開催に対する想い
そんな『HELL-SEE』も、今年でリリースから20周年。
全国10カ所を巡るツアーは、ライブが嫌いな五十嵐としても滅多にないことです。
最新アルバム『Les Mise blue』の2都市と比べると、その規模の違いも一目瞭然です。
「2023年は動く年」と宣言した五十嵐の書初め【燃焼】を落とし込んだTシャツも販売され、今年にかける想いがツアーの開催都市の多さに現れています。
五十嵐が発起してくれただけでも嬉しくてたまらないです。
いやしかし、筆者は『Les Mise blue』の煎餅Tシャツを買っているから買うのは悩み中。煎餅買って、燃焼まで買ってしまったら、もう焦げ煎餅まちがいなし。

筆者は、6月29日(木)の名古屋ダイアモンドホールのチケットに早速申し込みました。
6月2日には、People In The Boxのツアーが名古屋CQで行われるので、6月はライブが詰め込まれている活気溢れる月になりそうです。
おわりに
ということで、今回は6月から開催されるsyrup16gのライブツアー「syrup16g Tour 20th Anniversary “Live Hell-See”」について語らせていただきました。
『HELL-SEE』は、筆者の想い出に深く焼き付いているアルバムの一つです。
20年の歳月が過ぎて歌う『HELL-SEE』収録曲が、どれだけ濃縮されたものになっているのか楽しみです。
アルバムツアーを行わない限り歌われない楽曲 (Everseenやパレード等) があるため、ぜひこの記事をご覧になっている方もライブに参加して、喜びを共感できればと思います。
最近はsyrup16gを聴いていなかったという人も、ライブ前に久しぶりにsyrup16gに浸ってみるのはいかがでしょうか。
ということで、今回はsyrup16gの興奮をお届けする記事でした。
最後までご覧いただきありがとうございます。